お役立ちコラム

column

所定外労働時間とは?法定外労働時間との違いを解説

2023年06月16日

1日の労働時間は労働基準法で定められており、それを超過した場合は割増賃金を支払わなければなりません。
しかし、賃金の計算方法は所定外労働時間と法定外労働時間で違います。
この2つの違いが分からないといった方も多いでしょう。
今回は、所定外労働時間と法定外労働時間、それぞれの定義の違いや割増賃金の計算方法などを紹介します。

所定外労働時間とは?法定外労働時間との違いを解説

所定外労働の定義とは?

従業員の勤務時間は、企業の規約と国が定めた法律の2種類で定められています。
法律で定められた労働時間を法定労働時間、会社の規約で定められた労働時間を所定労働時間といいます。

例えば、会社の規約によって朝9時から17時までを就業時間と定め、12時から13時が休憩時間の場合、労働時間は7時間です。
所定労働時間における残業時間とは、17時を超えて働いた時間を指します。
18時まで働いた場合は、1時間の残業です。

なお、所定労働時間でも法定労働時間を超える労働時間は設定できません。
法定労働時間については次の項で詳しく説明します。

法定労働の定義とは?

法定労働時間は、労働基準法で定められた労働時間です。
原則として1日8時間・1週40時間以内であり、一部の例外を除いて雇用形態にかかわらず会社の従業員を法定労働時間以上、働かせられません。

法定時間における残業時間とは、1日8時間を超える労働時間です。
所定労働時間が7時間の会社で1時間残業した場合は、法定労働時間内の就業です。
法定労働時間を超える残業を従業員に求める場合は、「時間外・休日労働に関する協定」を会社と従業員との間で結ばなければなりません。
この協定は、労働基準法第三十六条で定められており、36協定とも呼ばれています。

なお、所定労働時間を超える労働をしていても、法定労働時間内の労働であれば36協定を結ぶ必要はありません。

所定外労働時間・法定外労働時間の違い

ここでは、所定労働時間と法定労働時間、それぞれにおける残業の違いをもう少し詳しく解説します。
所定労働時間を超過した場合は所定外労働時間、法定労働時間を超過した労働時間を法定外労働時間といい、それぞれ賃金や労働できる時間が異なります。

法定外労働時間と割増賃金

法定労外労働時間とは、1日8時間、週40時間を超える労働時間を指します。
例えば、1日9時間労働した場合の法定外労働時間は1時間です。
前述したように、法定労時間を超える労働を従業員に求める場合は、会社と従業員の間で「時間外・休日労働に関する協定」(36協定)を結びます。
また、36協定を結んだ場合でも法定外労働時間の上限は月に45時間、年に360時間が上限です。

従業員に法定労働時間を超えて働いてもらう場合、25%以上の賃金の割増が義務づけられています。
この割増賃金は、法定外労働時間が月60時間までは1.25倍以上、月60時間以上なら1.5倍以上と細かく法律で定められており、遵守しなければ法律違反です。

所定外労働時間と割増賃金

所定外労働時間とは、前述したように所定労働時間を超える労働時間を指します。
所定労働時間が1日7時間の会社で、8時間働いた場合の所定外労働時間は1時間です。
なお、休憩時間は労働時間に含まれません。

所定外労働時間が8時間未満の場合は、8時間までの労働は法定労働時間内です。
したがって、36協定を結ぶ必要も割増賃金を支払う義務もありません。
しかし、会社によっては残業代として割増賃金を支払うところもあります。
所定内労働時間を超えて法定労働時間内の残業を行う場合、賃金が同額か割増かは会社の規定に定めておきましょう。

曖昧なまま仕事をすると、トラブルの原因となります。

所定外労働時間で覚えておきたいこと

所定労働時間が7時間の場合、残業が1時間までなら法定労働時間内です。
しかし、残業時間が2時間を超えると法定外労働時間が1時間となり、割増賃金の対象です。

法定労働時間内の残業は割増賃金を支払わない契約だった場合、法定外労働時間に残業を行ったがどうかで、給与が変わります。
ですから、従業員の勤務時間を正確に記録しておいて残業代を支払わなければなりません。

また、所定内労働時間であっても、深夜勤務、早朝勤務を労働者に依頼する場合は割増賃金を支払わなければならないケースもあります。
つまり、所定労働時間だからといって労働者をどんな時間でも割増賃金無しで働かせてよいとは限りません。

残業代や各種割増手当を曖昧なままにしておくと、従業員との間に深刻なトラブルが発生します。
たとえ残業する日が限られた時期だけであっても、法定外労働時間が発生する場合、従業員と36協定を結び、割増賃金についても経営者がしっかりと把握しておきましょう。

まとめ

今回は、所定労働時間、法定労働時間のそれぞれの定義や所定外労働時間、法定外労働時間の違いを紹介しました。
所定外労働時間の残業であっても、法定労働時間内ならば経営者が従業員に割増賃金を支払う義務はありません。
しかし、早出や深夜勤を従業員に求めた場合、所定内労働時間であっても割増賃金を支払わなければならないケースもあります。
また、所定外労働時間と法定外労働時間が混在している場合は、割増賃金の正確な計算が大切です。