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傷病休暇とは?概要や取得条件・傷病手当についても解説

2023年09月15日

病気やケガで長期間働けなくなった場合、利用したいのが傷病休暇です。
傷病休暇を利用すれば、解雇の不安なく療養に専念できます。

今回は、傷病休暇の概要や取得条件を紹介するほか、傷病手当についても紹介します。
有給との違いについても解説するので、参考にしてください。

傷病休暇とは?概要や取得条件・傷病手当についても解説

傷病休暇とは?概要と取得条件を解説

はじめに、傷病休暇の概要や取得条件を解説します。
傷病休暇の期間や、休暇中の給与の扱いなど知っておけば困ったときに役立ちます。

傷病休暇とは特別休暇の一つ

傷病休暇とは特別休暇の一つであり、病気やケガで長期間働けない場合に使える休暇です。
特別休暇には、夏期休暇や年末年始休暇、忌引休暇などがあります。
産休のように法律で定められた法定休暇ではないので、会社ごとに概要が異なります。
会社によっては傷病休暇が設けられていないところもあるでしょう。

自社が傷病休暇を制定しているか、取得する条件や給与の有無はどうなっているのかなどを知りたい場合は、就業規則を確認してください。
傷病休暇をはじめとする特別休暇に関しては、就業規則への規定が必要です。

傷病休暇の種類

傷病休暇には「公傷病休暇」と「私傷病休暇」の2種類があります。

公傷病休暇は、会社の業務中もしくは通勤中に起きたケガや病気で使用できる休暇で、労災が適用されます。
例えば、営業で外回りに出ているときに交通事故に合った場合や、出張に海外に行った際に風土病に感染した場合などです。
公傷病休暇は、業務上災害による補償として会社側が治療費を負担します。
また、休業中は平均賃金の60%の休業補償を支払わなければなりません。

一方、私傷病休暇はそれ以外のケガや病気による休暇です。
例えば、ガンをはじめとする治療に日数のかかる病気になった場合や、公休日に交通事故に遭った場合などが該当します。
この場合は、会社側の判断で休業中有給か無給かが決まります。

傷病休暇の取得条件

傷病休暇の取得条件は会社によって異なりますが、入社して6ヵ月後から取得可能としているところが多いでしょう。
その一方で、現在は有給休暇が使えないうちに病気になったりケガをしたりした場合を考え、入社後すぐに取得できるところも増えています。

なお、雇用条件に関係なく取得できます。
これは、2021年に制定された「パートタイム・有期雇用労働法」により、正社員と非正規雇用者の間にあった待遇差を解消するように義務づけられたためです。

傷病休暇の際に利用できる傷病手当とは

健康保険に加入している場合、傷病休暇を取得した際には条件によって傷病手当を受給できます。
ここでは、傷病手当の支給条件や支給期間、支給額などを紹介します。

傷病手当とは

傷病手当とは、健康保険に加入している方が病気やケガを理由に会社を休んだ際、事業主から報酬が十分に受けられない場合に受けられる手当です。
傷病休暇中に、健康保険加入者とその家族の生活保障をするために設けられた制度です。
健康保険の加入者であり、一定期間傷病休暇を取得した場合に支給されます。

なお、公傷病休暇の場合は、会社が給与等の補償をしてくれるので傷病手当は受給できません。
私傷病休暇のみが対象なので、混同しないように注意しましょう。

傷病手当の支給条件

傷病手当を受けるための条件は、私傷病休暇以外には以下の3つです。

・仕事に就くことができない
・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けない
・休業した期間について給与の支払いがない(有給の場合は支給不可)

仕事ができない病気やケガは職種によって異なります。
例えば、足の骨折は通勤して事務仕事はできる可能性がありますが、建築作業など体を使う仕事は難しいでしょう。
したがって、療養担当者の意見や健康保険加入者の仕事内容などによって判断されます。

また、連続する3日間の中には公休日や有給も含まれます。
例えば、ケガをして3日間有給を取得したが4日目になっても出勤できる状態ではない場合、4日目から傷病手当の支給が開始されると覚えておきましょう。
なお、3日間休んで4日目に出勤し、5日目に再び休暇を取り始めた場合は5日目から支給が開始されます。

傷病手当が支給される期間と支給金額

傷病手当が支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月になりました(2022年1月1日より)。
通算とは、傷病手当受給中に出勤した場合、その期間を受給期間から外す計算方法です。
例えば、1ヵ月傷病手当を受給したあと、15日出勤した場合はその15日は支給期間に含まれません。

支給金額は【支給開始日までの標準報酬月額の平均÷30×3分の2】で計算します。
支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない場合などは、別の計算方法があるので、詳しくは加入している健康保険組合のホームページを確認してください。

まとめ

傷病休暇を利用できれば、就業できないために解雇される心配もありません。
また、ガンなどインターバルをおいて治療する場合、1ヵ月休んで治療を受け、次の2ヵ月は仕事ができるといった働き方ができれば、経済的な不安も多少解消されます。

なお、勤務中でも昼休み中にスポーツなどをして骨折したなどの場合は、公傷病休暇ではなく私的傷病休暇に分類されます。
また、美容整形など健康に関係ない手術で長期間休む場合は、傷病休暇は取得できないので注意しましょう。